2026年、欧州連合(EU)全域の(再)保険会社は、10回目となる年次ソルベンシーおよび財務状況報告書(SFCR)を公表しました。本稿では、主要指標について要約・考察し、2025年末と2024年末のSFCRにおける数値を比較しています。
これまでミリマンでは、英国(UK)およびジブラルタの規制を受ける(再)保険会社も分析対象としてきました。しかし、英国のEU離脱および英国における近年の英国ソルベンシーへの移行を踏まえ、今回の分析では英国およびジブラルタを対象外としています。これらの市場については、別途、英国およびジブラルタの損害保険会社のソルベンシーおよび財務状況報告書の分析:2025年末 を公表しています。今回、新たにポルトガルとギリシャを分析に加えたことで、対象を15カ国に維持するとともに、EUの損害保険市場をより幅広く捉えられるようにしました。
本レポートの基礎となる分析は、SFCRに含まれる定量的報告テンプレート(QRT)内の情報に焦点を当てています。また、さまざまな会社についても示唆を得るため、特に市場平均と大きく異なる特徴を示した会社を中心に、SFCR本文の記載内容についても考察しました。分析はグループではなく単体企業を中心としており、15カ国の762社の単体企業を対象としています。対象企業合計で、元受収入保険料(GWP)5,610億ユーロ、損害保険技術的準備金総額7,180億ユーロを占めています。一部の生損保兼営会社も分析に含まれていますが、主として損害保険事業を引き受けている会社に限られます。
主な調査結果は以下のとおりです。
- GWPは、2024年末の5,330億ユーロから、2025年末には5,610億ユーロに増加しました。
- 年間のGWP増加額が最も大きかった国はドイツとフランスで、GWP減少幅が最も大きかったのはオーストリアでした。
- 年間で最も高い伸び率を示した保険種目はその他の自動車保険で、0.7%増となりました。
- 出再保険料は、2024年末の1,500億ユーロから、2025年末には1,550億ユーロに増加しました。
- 損害保険会社の大半は、引き続き債券への投資比率が高い状況にあります。
- 技術的準備金は、2024年末から2025年末にかけて全体として増加しました。2025年末時点では、再保険控除前の技術的準備金は合計7,180億ユーロ、再保険控除後では5,270億ユーロとなり、2024年末のそれぞれ6,860億ユーロ、5,050億ユーロから増加しました。
- 適格自己資本のソルベンシー資本要件(SCR)に対する比率は、2024年末の250%から、2025年末には259%に上昇しました。2025年末時点で最も高いカバレッジ比率を示したのはオーストリア(313%)で、最も低かったのはルーマニア(154%)でした。
- 本分析対象の15カ国全体では、2024年から2025年にかけて自己資本のティア区分に重要な変化は確認されませんでした。