本稿では、2024年12月31日に終了した会計年度における英国自動車保険市場の業績の分析結果と、公開日までの市場の課題に関するコメントを紹介します。本レポートは、ソルベンシーIIの自動車保険に関する2つの事業分野（自動車損害賠償責任保険とその他の自動車保険）に着目します。分析は主に、英国の自動車保険会社の2024年末のソルベンシーおよび財務状況報告書（solvency and financial condition reports、SFCR）に付随する定量的報告テンプレート（quantitative reporting templates、QRT）に記載された情報に基づいています。

ハイライト

• 自動車保険の引受営業保険料（gross written premiums、GWP）総額は、2024年に223億ポンドとなり、2023年の184億ポンドから増加しました。
• 保険料水準は、インフレや公正価値と価格設定に関する当局の審査による影響を受けています。
• 過去4年間で、GWPのうち自動車損害賠償責任保険に割り当てられる割合は、その他の自動車保険と比較して減少しています。
• 調査対象の36社のグロスのロスレシオは2024年に74.4％となり、2023年から10ポイント低下しました。
• 自動車保険の支払額は、合計117億ポンドでした。
• 自動車保険料は8.3％上昇し、賃金の伸び（5.6％）を上回りました。
• 英国の個人向け自動車保険市場では、過去1年間に重要な合併・買収・提携がいくつか見られました。
• 英国政府は、完全自動運転車が2027年下半期まで実現しない可能性が高いと発表しました（従来の目標は2026年）。
• 2024年末時点で、バッテリー式電気自動車は全登録車の約4％を占め、新車登録の約20％を占めました。
• 対象期間に新たに登録された自家用車は約200万台で、2023年末から2.7％増加しました。
• 新たに登録された商用車は約250万台で、2023年末から3.1％増加しました。